プロローグ

「仮面ライダーという名の仮面」
それはかつて世界を救いそして自らの運命を変えた男達の話・・・・


バイクが海岸線を疾走している。その搭乗者に声が届く。
「剣崎君。南西20キロ。橘さんが苦戦してる。急いで!」
女の声のようだ。
「橘を助けるんだ。急げ剣崎。」
今度は男の声。そして剣崎と呼ばれた男は
「了解!」
とだけいいバイクを走らせる。その剣崎という男は「人間」の姿ではなかった。しかし怪物という訳でもなかった。その姿はまるで甲冑をまとった騎士のよう。深い青を基調とし胸や所々にある目立った「剣」の意味を持つスペードマーク。そして赤目に角のように尖った頭頂部。それが「剣崎」と呼ばれた男の今の姿であった。
そしてまたオペレーターの声が届く
「剣崎君、目標地点へ二キロ。急いで。」
剣崎はバイクの向きを変え再び走らせた・・・・


そのころ剣崎が向かっている地点の洞窟で別の男が戦っていた。この男も剣崎と同じ「人間」の姿をしていない。しかし剣崎とは違っていた。赤を基調としこれまた胸や所々に「金」を表すダイヤのマーク、そして緑の目のマスク。それはオペレーターの言っていた「橘」であった。
その戦っていた相手は今度こそ「怪物」だった。腕には翼のような膜を持ちどこか蝙蝠を思わせる姿をしている。
今、橘はこの怪物に右足で胸に蹴りをいれ追撃の手を打とうとした瞬間・・・それは突如出てきた蝙蝠たちによって阻まれ怪物からのパンチを受け橘は倒れてしまった。すかさず片膝を立て右足にあるホルスターの銃を取ろうとしたとき怪物の右足からローキックが飛び再び吹き飛ぶ橘。
怪物が橘に向かったそのとき―――洞窟の壁を吹き飛ばし剣崎がやって来た。そして怪物を引こうとする、しかしその怪物は横に飛びそれを回避。
「橘さん!!大丈夫ですか!?」
「剣崎!!」
そして剣崎はバイクから降り、橘は立ち上がり体制を立て直す。




このやり取りを見ている人物がただ一人いた。
それが今これを書いている僕自身「白井虎太郎」だ。この出会いがすべての始まりだった。これから剣崎君や橘さん、そして始や睦月に壮大な運命が降りかかるなんて誰が予想しただろう?4年前、剣崎君は自らを犠牲に世界を救った。この記録をどこかに残さなきゃならない。それが剣崎君を一年近くで見てきた僕の使命でもあったから。この記録は橘さんや始、睦月、広瀬さん達の協力によって完成したものだ。そして作成に協力してくれたほかの人たちにも感謝をしたい。
最後にもう一度言うけどこれは四年前運命を切り開いた男達の物語、
「仮面ライダーブレイド」